自由主義、民主主義、選挙、法(法律)、政治及び個人の尊厳という概念の整理(関係性)
これまで、自由主義、民主主義、選挙、法(法律)、政治、個人の尊厳などについて、それぞれ述べたことがありますが、これらを整理するため、それぞれの概念を簡略化して述べた上で、概念間の関係性について述べたいと思います。
自由主義とは何か
自由主義(自由)とは、「私のことを私で決めること」(自己決定)を意味します。
【参照】 ・自由とは何か
民主主義とは何か
民主主義とは、社会において、自由主義を保持するために、「私(たち)のことを私(たち)で決めること」を意味します。
【参照】 ・民主主義(私たちの自由)とは自由主義(私「あなた」の自由)実現の手段
選挙で投票することの意味は何か
選挙とは、民主主義を実現するために、私たちの代表者(こと)を私たちで選ぶ(決める)制度(こと)です。もっとも、その手続は、私の代理人(こと)を私で選ぶ(決める)内容(こと)となっていますので、つまるところ、自由主義実現のための制度になっています。
そうすると、選挙に行かずに投票しないことは、自己決定(自由)を放棄することになります。私たちが生きる上では、選択的決定を欠かすことができません。朝起きて今日着る洋服を選択しなければ、一日が始まりません。自己決定を放棄することは、今日着る洋服を選ばないことと同じことです。そんなことをしていれば、当然生きていくことができません。そういうことです。生きていけるとすれば、他者(たとえばお母さん)が全て決めてくれることに従わなくてはなりません。それを受け入れられるのであれば、選挙に行かずともよいでしょう。もっとも、全国民がそのように行動したら、社会生活は麻痺して誰ひとり生きていけなくなってしまいます。つまるところ、自己決定はせざるを得ず、同様に選挙に行って投票せざるを得ないのです。
【参照】 ・選挙に行く理由
法とは何か
法(法律)とは、私の自由とあなたの自由の調整をするものです。特に、法の本質的な存在意義は、強者や多数の自由を規制して、弱者や少数者の自由を保持することにあります。
【参照】 ・法とは何か
政治とは何か
政治とは、憲法の普遍的理念すなわち自由を具現化することです。その具体的手段は法律の制定と税金(予算)の配分です。どのように自由を調整し、どのようにお金を使うのかが政治であることになります。
【参照】 ・18歳選挙権のための主権者教育
自由主義が出発点
こうしてそれぞれの概念についてみてくると、1つ気付くことがあります。それは、民主主義以下の全ての概念が、自由主義を保持するために存在している概念であるということです。全ては、個人の自由(自由主義)に帰着するのです。というよりは、全ての概念は自由主義をその思考の出発点としている、と言い換えた方がよいでしょう。
【参照】 ・個人の自由に対するコントロール
核心的価値である個人の尊厳原理
それではさらに、なぜ、自由主義が出発点となるのでしょうか。それは、自由主義という概念の基底に、核心的価値である「個人の尊厳原理」があるからなのです。個人の尊厳が保持されるためには、第一義的にその個人が自由であることが不可欠であるからなのです。
【参照】 ・憲法の目的
各概念の関係図
憲法制定前の自然権及び制憲権なども含めて、概念関係図を作成してみました。ご覧になってみてください。