憲法の萌芽
憲法の萌芽とされるものが、イギリスで1215年6月15日に公布された「マグナ・カルタ(大憲章)」です。国王がジョン王の時代のものです。
中世ヨーロッパの国王は同輩中の首席などと表され、他の貴族と比べてそれ程の権力を有していたわけではなかったようです。
しかし、ペストの流行による荘園農奴の減少や十字軍遠征を起因とする貨幣経済の発達により他の貴族が衰退したのに対し、常備軍を持ち都市の商工業者を保護する見返りとして献金や融資を集めた国王の力が秀でていったようです。
力をつけた国王が貴族の特権と慣習法を無視して課税や軍役を賦課したことに腹を立てた貴族が、63カ条の契約を作ってジョン王に突きつけたものがマグナ・カルタです。
マグナ・カルタにおける自由とは貴族の特権を意味しますが、法によって国王の権力を制限するという意味では、まさに法の支配が具現したものと言え、憲法・立憲主義の萌芽と呼ぶのに相応しいものでしょう。