法の支配
近代憲法は、自然権思想のほか、法の支配の原理と密接に関連する。自然権思想と法の支配の原理は、憲法の車の両輪といえる。
法の支配の内容
法の支配の原理は、中世の法優位の思想から生まれ、英米法の根幹として発展してきた基本原理である。それは、専断的な国家権力の支配(人の支配)を排斥し、権力を法で拘束することによって、国民の権利・自由を擁護することを目的とする原理である。
法の支配の内容として、①憲法の最高法規性の観念、②権力によって侵されない個人の人権、③法の内容・手続の公正を要求する適正手続(due process of law)、④権力の恣意的行使をコントロールする裁判所の役割に対する尊重、が挙げられる。
民主主義との結合
法の支配は、権利・自由を制約する法律の内容を国民自身が決定することを建前とする原理であるため、政治体制としては民主主義と結合するものである。
合理的な法
法の支配に言う「法」は、その内容が合理的でなければならないとされ、人権の観念とも固く結びつくものである。
【参照・引用】
芦部信喜著・高橋和之補訂・憲法[第6版](岩波書店・2015)P13~15