ローカル・ルール
行政書士同士の会話では、許認可等管轄役所の独自の取扱いが話題に上ることがあります。これをローカル・ルールなどと呼んでいます。
この行政のローカル・ルールなるものが、国民・住民の有利になるように地域の事情を汲んだ取扱いであれば問題はないのですが、逆に不合理に国民・住民の自由を制限するような方向の取扱いであるならば、由々しき問題です。
実際には、ローカル・ルールと呼ばれるものの大半が、法令に根拠を持たないものや、あるいは端的に法令に違背するものなのです。そもそも、行政書士によってローカル・ルールと分類されるということは、その取扱いの不合理さゆえなので、もっともなことです。
行政書士の中には、ローカル・ルールに直面した際、波風立てず役所に唯々諾々と従うほうが手続が円滑に進み、ひいては依頼人の利益につながるなどと主張される方がいます。
しかし、行政書士は、法令を根拠に業務を行う法律専門職です。高い職業倫理の下に業務に臨んでいるはずです。そうであるならば、法令に根拠がないローカル・ルールに直面した場合、それが是正されるよう努める使命があります。そうすることで国民の権利・自由を擁護することができるのです。そうしなければ、逆に行政の御用聞きに成り下がり、国民の権利・自由を侵害する側に回ってしまうことに気付くべきです。むしろ、恒常的に法令違背のローカル・ルールに対して絶えず監視の目を光らせていなければなりません。
もし、行政書士が悪しきローカル・ルールに拘束されたまま業務をこなすだけならば、それは手続屋あるいは段取り屋とでも呼ぶような内容の職業であり、そこには法律専門職の影も見ることはできないでしょう。稼得とは切り離された、使命を遂行してはじめて、専門職に値する働きができるのです。