話し合いの場 議会
重要な法律案の可否を議論なしに国民投票に付することは、民主主義に資することでしょうか。
たしかに、多くの国民の民意を反映でき、民主主義に資することのように映ります。
しかし、民主主義は自由主義を包摂していなければなりません。そのためには、話し合いの場を設け、少数意見に耳を傾ける過程を経る必要があります。この過程を経ずに、いきなり国民投票で決めてしまうことは、少数派の自由を蔑ろにし、ひいては民主主義に悖ることになるのです。
民主主義には、時間をかけて話し合うことがどうしても必要です。そして、その話し合う場が議会です。国のレベルでは国会なのです。したがって、法律を作るには国会での審議討論が欠かせません。国会での審議討論の過程で、少数派の意見の一部を法律案に反映させたり、あるいは少数派を十分説得したりすることで、自由主義を包摂するのです。
国会での強行採決が良くないのは、未だ少数派の理解が得られていないうちに、数の力に任せて押し切ってしまうからです。自由主義を包摂できていないのですから、民主主義ではないわけです。