車庫証明の正しい理解(10) 変更届出手続の機序
※お断り:以下では、自動車の保管場所の確保等に関する法律を「法」、自動車の保管場所の確保等に関する法律施行令を「令」、自動車の保管場所の確保等に関する法律施行規則を「則」と表記します。
変更届が必要になる時
・登録自動車の場合保管場所証明書の交付を受けた後に保管場所の位置を変更した場合で、変更登録(道路運送車両法12条)及び移転登録(同法13条)を伴わないもの(法7条1項前段)。
・軽自動車の場合保管場所の届出をした後に保管場所の位置を変更した場合(軽自動車)には、保管場所の変更届をする必要があります(法7条1項後段)。
2つの手続(届出と申請)
自動車の保管場所変更届出にも、
①自動車の保管場所の変更届出と、
②保管場所標章の交付申請という
届出と申請の2つの手続が含まれているのです。
法令に合致した手続の機序
厳密に手続機序を説明します。
まず、自動車の保有者は、①の変更届出を自動車保管場所届出書(1通)を保管場所の位置を管轄する警察署長に提出することでを行います(法7条1項、令3条、則3条)。
すると、届出書を受理した警察署長が保管場所標章を自動車の保有者に対して交付することになります(法6条1項)。もっとも、同標章を交付する際、警察署長はその交付を求める保有者に対して、保管場所標章交付申請書(原則2通)の提出を求めなければなりません(則4条1項、則1条1項、則4条3項)。
したがって、警察署長が届出書を受理した段階で、自動車の保有者は、②の保管場所標章の交付申請を保管場所標章交付申請書(原則2通)を保管場所の位置を管轄する警察署長に提出することでを行うことになるのです(法6条1項、則4条1項、則1条1項、則4条3項)。
②の申請書の提出の結果、警察署長より保管場所標章および保管場所標章番号通知書(則4条2項、同条3項)が保有者に対して交付されることになるのです。
↓
2.警察署長による自動車保管場所届出書の受理
↓
3.警察署長が保管場所証明書の交付を決定
↓
3.保有者による保管場所標章の交付申請(②)
↓
4.警察署長から保有者へ保管場所標章・保管場所標章番号通知書の交付
※届出書の提出→届出書の受理→標章交付申請→標章交付は、ほぼ同時に行われるため、警察署への訪問は1度で済むことになります。
実務の現状は厳密に言えば手続違背が多い
現在、警察署の窓口申請では、複写式の用紙を使っていることも多く、保有者が一度に①の保管場所の変更届出と②の標章交付申請を行っていますが、厳密に言えば法令に定められた手続に違反しているのです。
※違背の程度は極軽微なものです。
正しい申請方法
厳密には、まず複写式の用紙の自動車保管場所届出書の用紙だけを切り離して提出し変更届出を行い、警察署長により届出書の形式的要件が満たされていることが確認され受理された時点で、残りの保管場所標章交付申請書を提出し標章交付申請を行うことが法令に合致する手続方法になります。
※根拠法令に厳密に従うとそうなるというだけで、そうすべきというわけではありません。