文書に署名・押印することの法的意義(3)− 意思表示主体を明確化・証拠化
署名・押印も文書の一部
前回、契約書や申請書等の作成といった当事者の意思表示を文書化することの意義は、意思表示の明確化及び証拠化にあると述べました。署名・押印も文書の一部を構成していますので、同様の意義を有します。
署名・押印することで、意思表示主体を明確化及び証拠化する。
もっとも、本文部分と署名・押印部分とでは、明確化及び証拠化する対象が異なります。本文部分が意思表示の内容を対象とするのに対して、署名・押印部分は意思表示の主体を対象とします。つまり、本文部分は「何を」意思表示するのかを対象とし、署名・押印部分は、「誰が」意思表示するのかを対象としているわけです。
テーマに従って言い直せば、文書に署名・押印することの意義は、「誰が」意思表示をしたのかを明確化及び証拠化することにあるのです。
私見を申し上げれば、契約書等の処分証書における署名・押印の意義については証拠化の方に、役所への申請書におけるそれについては明確化の方に比重が大きいとの印象を受けます。